ECサイトでは一般的に行われている◯円以上で送料無料企画。
ユーザーにとって送料無料というのは嬉しいですし、
店舗からしても客単価アップを狙えるのて面白い企画ですよね。
とはいえ、その店にあった最適な条件というのは以外と軽視している店舗もいるようです。
客単価を元に算出するのが一番シンプルな形ではないかと思いますので、
まずは基本的な送料無料の条件についての算出方法を考えてみましょう。
今回は商材によっても考え方をかえてみたいと思います。
1. まずは実際に算出してみて現在の送料無料条件と比較してみよう。
前述のとおり今回は客単価を元に算出するシンプルな形をご紹介いたします。
例を元に適切な送料無料条件を考えてみてください。
1.1 客単価だけでなく商材によっても有効な設定は異なる
今回は、以下の3店舗があることを想定して考えてみます。
A ファッション系 |
B ファッション系 |
C 食品系 |
|
---|---|---|---|
商材 | メンズ作業服 | レディースファッション | 高級食材 |
平均商品金額 | 5,000円 | 3,000円 | 5,000円 |
客単価 | 8,000円 | 5,000円 | 8,000円 |
A、Bはともにファッション系ですが、
メンズとレディースで取り扱い商材は性別が異なります。
Cは食品系で高級食材です。
弊社の考える送料無料条件と合わせて、
よくある単純に客単価と平均商品金額だけをみて考えてみるパターンも掲載してみました。
今回は初級編の記事ですので算出方法も簡単です。
まず、結果から。
A ファッション系 |
B ファッション系 |
C 食品系 |
|
---|---|---|---|
商材 | メンズ作業服 | レディースファッション | 高級食材 |
平均商品金額 | 5,000円 | 3,000円 | 5,000円 |
客単価 | 7,000円 | 5,000円 | 8,000円 |
送料 | 540円 | 540円 | 1,000円 |
ありふれた送料無料条件 | 8,000円 | 6,000円 | 10,000円 |
上記表の青いテキストで記載した「ありふれた送料無料条件」をみてください。
A店の客単価が7,000円の店舗で考えてみます。
客単価通り7,000円のお買い物をするユーザーがいたとして、
送料が540円ですので、最終的にユーザーが決済する金額は以下になります。
(客単価)7,000円
+)(送料) 540円
ーーーーーーーーーーー
(合計) 7,540円
ここで送料無料の条件が8,000円と設定されていれば、
あと1,000円お買い物をすれば送料無料になりますので、
他に買いたい商品がないか探すことでしょう。
1,500円の商品を見つけて同梱したとしたら、
(客単価)7,000円
+)(同梱) 1,500円
+)(送料) 0円
ーーーーーーーーーーー
(合計) 8,500円
合計8,500円の決済となりユーザーは送料無料でお買い得となり、
店舗も客単価が上がる結果となりました。
両者WinWinの結果のように見えます。
A店と同じように残りの店舗も「客単価と送料を足してあとちょっと」
という金額で算出してみました。
ただ、これで本当にいいのかを考え直してみましょう。
もう少し店舗への利益を追求できないでしょうか。
1.2. 平均出品金額と取り扱い商品と対象ターゲットも踏まえて考え直す。
先ほどの表にさらに赤いテキストで弊社がオススメする「最適でシンプルな送料無料条件」の行を追加しました。
A ファッション系 |
B ファッション系 |
C 食品系 |
|
---|---|---|---|
商材 | メンズ作業服 | レディースファッション | 高級食材 |
平均商品金額 | 5,000円 | 3,000円 | 5,000円 |
客単価 | 7,000円 | 5,000円 | 8,000円 |
送料 | 540円 | 540円 | 1,000円 |
ありふれた送料無料条件 | 8,000円 | 6,000円 | 10,000円 |
最適でシンプルな送料無料条件 | 15,000円 | 5,400円 | 9,800円 |
1.3. A店(メンズファッション)の最適でシンプルな送料無料条件についての解説
A ファッション系 |
|
---|---|
商材 | メンズ作業服 |
平均商品金額 | 5,000円 |
客単価 | 7,000円 |
送料 | 540円 |
ありふれた送料無料条件 | 8,000円 |
最適でシンプルな送料無料条件 | 15,000円 |
同じくまずはA店からみてみましょう。
先ほどと同じく7,000円のお買い物をするユーザーがいるとします。
送料が540円なのでこのまま買い物を終えると合計7,540円の決済になります。
A店は「合計15,000円以上で送料無料」の設定をしてあります。
ユーザーは送料無料でお買い物をするためには、
追加で8,000円のお買い物が必要です。
ここで店舗側としてはこのように考えて少し不安になることでしょう。
- 8,000円なんて客単価以上のお買い物はしてもらえないだろう。
- 最悪購入自体をやめてしまうのではないか。
ありふれた送料無料条件であれば、
ユーザーは追加で1,500円の商品を購入しました。
しかし今回は1,500円の購入だけでは送料無料の条件をクリアできません。
ですのでそのまま追加購入をしないのであれば、
(客単価)7,000円
+)(送料) 540円
ーーーーーーーーーーー
(合計) 7,540円
合計7,540円で決済をすることでしょう。
ユーザーは送料を支払い、店舗は客単価を上げられない結果になります。
ここで客単価だけでなく以下の条件も付け加えた考えてみましょう。
- 客単価は7,000円
- 送料は540円
- 平均商品金額が5,000円
- 商材は作業服
- ユーザーは男性(メンズ)
先ほどの客単価と送料の2つを使用したありふれた送料無料条件とは違い、
平均商品金額、商材、ユーザー属性が加わりました。
作業服というものはどういう商品でしょうか。
- 毎日の仕事で汚れる上に、破損するので丈夫なものが欲しい。
- 洗濯をして乾燥させて翌日また同じものを着ることは非常に難しい
- 何着か必要
- 作業服に合った作業ズボン(ニッカポッカなど)も欲しい。
平均商品金額が5,000円というところから作業服が一着4〜5,000円として買い物かごへいれます。
>現時点の買い物かご合計金額は 5,000円
作業ズボン(ニッカポッカ)が8,000円程として作業服と合わせて買い物かごへいれます。
>現時点の買い物かご合計金額は 13,000円
このまま決済すると、送料540円と合わせて決済金額13,540円です。
この時点で、あと2,000円の購入で送料無料条件の15,000円に到達します。
ユーザーはメンズなのでステータスを求めるかもしれません。
ワンランク上の商材を買おうか迷うかもしれませんし、
そうならないとしても他にも軍手など買っておこうかと思うでしょう。
さらに追加注文をして15,000円以上の送料無料条件に到達します。
こうして商材とユーザーも踏まえた上で、
商品はどのように使われるのかを考えると送料無料条件を高めに設定できます。
ユーザーにこのようなステップを促すためにも、
例えば作業着のページで、合わせて作業ズボンはいかがですか等、
作業着にあった作業ズボンを紹介する必要がありますし、
そもそもいくらの注文で送料無料になるかの条件はわかりやすい箇所に記載しておきましょう。
お得な作業着と作業ズボンのセット商品を用意しておくのも良いでしょう。
もちろん、軍手など同梱されやすい商品も各商品ページで紹介してください。
このような商材は彼氏・旦那へのプレゼントとして女性が購入するケースもあるでしょうから、
そのあたりはアクセス解析をみて分析しましょう。
女性ターゲットもという点も踏まえた方がいいかもしれません。
A店と同じように残りの店舗も商材やユーザー、どのように使われるのかを踏まえて設定したかを解説します。
1.4. B店(レディースファッション)の最適でシンプルな送料無料条件についての解説
B ファッション系 |
|
---|---|
商材 | レディースファッション |
平均商品金額 | 3,000円 |
客単価 | 5,000円 |
送料 | 540円 |
ありふれた送料無料条件 | 6,000円 |
最適でシンプルな送料無料条件 | 5,400円 |
ありふれた送料無料条件と比べて、こちらは600円も低く設定してあります。
これはなぜかというと、平均客単価が5,000円、送料は540円なので、
このまま決済すると合計5,540円になります。
対象ユーザーはレディースですので、
6,000円よりも5,800円、5,800円よりも5,400円という響きに対して反応してくれると思います。
実際はありふれた送料無料条件と似た客単価になると思いますので、
600円低く設定しても問題ないと考えられます。
あと400円だけ購入すれば、合計5,540円のところが、
5,400円になって100円お得になり、さらに送料無料!という、
お得感満載な雰囲気が演出できるメリットが得られ、
この店はお得と思ってもらえることでしょう。
レディースはメンズと違って、
こんなに素敵なものをこんなに安くかえた。というところに価値観を感じてくれます。
こういう心理も踏まえて算出しましょう。
1.5. C店(食品系)の最適でシンプルな送料無料条件についての解説
C 食品系 |
|
---|---|
商材 | 高級食材 |
平均商品金額 | 5,000円 |
客単価 | 8,000円 |
送料 | 1,000円 |
ありふれた送料無料条件 | 10,000円 |
最適でシンプルな送料無料条件 | 9,800円 |
C店は食材を扱っています。
食品は口に入れるものであり、消耗品です。
さらに高級食材なので嗜好品(しこうひん)にも分類されます。
この店に訪れるユーザーはメンズ、レディース問わず訪れるでしょう。
年齢層は少し高くなる傾向があります。
金額面もユーザーは安さよりも商品への満足感や特別感を求めています。
国産か外国産、限定感など素材へのこだわりも金額として評価してくれるでしょう。
ありふれた送料無料条件は10,000円、最適でシンプルな送料無料条件は9,800円と、
ほぼ同じ設定になりましたが、女性もターゲットになっている点から、
客単価を下げずに少し買い物をしやすいと感じられる設定にしました。
これは別段10,000円のままでもいいと思いますし、税込みの10,800円でもいいでしょう。
限定感のある商材であればまとめ買いもしやすいので、
送料無料条件を目指して購入してくれる期待が出来ます。
あまり低いラインに送料無料の設定をしてしまうと、
生物ですとクール便になるでしょうし重さや大きさがあるものですと、
送料自体が高くなりますので注意しましょう。
その場合は商品単価が適正かどうかが重要でしょう。
2. 同じ系統の商品でも対象ユーザーと商材によって考え方を変える。
同じファッション系の商品でも対象ユーザーがメンズかレディースか、
どのように商品が使われるかの背景まで考えてみると、
適正な送料無料の条件設定が見えてきます。
ただなんとなく設定していたということにならないよう、
本記事を参考にしてみてください。
3. まとめ
◯円以上で送料無料の設定方法の初級編解説は以上です。
「以前に送料無料の価格設定を引き上げるとコンバージョンが下がりそうだ。
売り上げが落ちるかもしれないけど実行していいものでしょうか。」
という相談を受けたことがあります。
その時は「ぜひ実行しましょう。」と返答しました。
もちろん適正だと判断した価格設定であればです。
その後、店舗の売り上げには特に悪影響は見受けられず、
客単価も大幅にとまではいきませんが増加しました。
短期間で急激にみるみる売り上げを上げたわけではないのですが、
まれに大きなまとめ買いもあったりと、良い結果が出たようです。
客単価も以前より若干ではあるが増加し、売り上げも毎年順調に増加しており、
この店舗はサポートから2年後には年商5,000万円から1億円を突破してしまいました。
情報の分析はとても重要です。
本記事の内容だけでなく、商材の単価やどの商品が一緒に買われているかということも
合わせて分析しましょう。